よくある質問

Q1. 推手とは

推手とは太極拳の基本的な練習方法の一つです。推手は、合気道、柔道、レスリングなど他の武術でも訓練するテクニックです。パートナー同士が向かい合い、相手のバランスを崩すことだけを目的とします。右のビデオでは、推手を通してメレディス氏が合気道六段の相手のバランスを崩している様子がわかります。鄭子太極拳では安全に楽しく相手のバランスを崩すことを練習します。合気道六段の相手は、メレディス氏に協調したり崩す演技をしたりしているわけではありません。何とか崩されずに出来ればメレディス氏を倒そうと試みていますが、上手く行きません。なぜならメレディス氏が太極拳の原則であるソフトなパワーを使って相手のバランスを完全にコントロールしているからです。

人推我:化整为零
我推人:化零为整
期根在于脚
用意不用力
舍己从人
吃小亏占大便宜
四两拨千斤

手の込んだテクニックや特別な動きなどは全く必要ではありません。つまり、「こうすれば、ああなる」という形式はないのです。鍵となるのはリラクゼーションのみです。

Q2. 太極拳は形意拳や八卦掌など他の中国の内部エネルギー武術と極端に違うものでしょうか。

内部エネルギーを鍛錬するという意味ではどの武術も同じです。ただ、だれもが持つ身体の強ばりや緊張を取り除くという上でZMQ37は大きな効果があります。何が自分に合っているかは色々挑戦を重ね結論を出せばいいと思います。

Q3. 『太極拳の推手に見られるパワーは引き金の役割に過ぎない。相手の体に潜む緊張(強張り)を発射(発動)させるだけ。太極拳パワーが相手を動かしているのではない。相手の緊張が受けたパワーにより発動し体が動いてしまうのだ』とよくセミナー等で言っていますが、同時に、『その際、太極拳パワーの5パーセントしか使っていない』とも言っています。太極拳パワーが単にに引き金の役割に過ぎないのであれば、どうして5パーセントなどと数字を使う必要があるのですか。引き金はいわゆる二進法ではないでしょうか。妊娠しているか、いないか。弾が発砲されたか、されていないか。この点についてもっと詳しく説明して下さい。

論理的な素晴らしい質問です。確かに太極拳パワーの比喩(太極拳パワーは引き金に過ぎない)には論理的な欠点があります。ただ比喩というのはアイデンティティではありません。喩えたものと喩えられたものは似ていながらも違うものです。飽くまでも喩えであってそのものと同一ではないのです。現実世界で、引き金はイエスかノーかです。ところが太極拳の引き金パワーは引き金効果をもたらしながらも、イエス、ノーではなく、幅があるのです。ここでもう一つの比喩を挙げましょう。3段方式のロケット発射です。最初の燃料噴射が第一段階のロケット台で起こります。そしてロケットが発射された後で更に第二、第三の燃料噴射がそれぞれの段階で起こります。ロケット台で起こる最初の燃料噴射がロケット燃料噴射全体の5パーセントの引き金効果にあたると考えられるでしょう。もちろん三段階方式ですから数字的には5パーセントよりも大きいでしょうが、あくまでも喩えです。もし、最初のステージでつまりロケット台で全ての燃料が噴射されてしまったら、おそらく、ロケットは粉々になってしまうのではないでしょうか。つまり、全燃料の一部を噴射するだけでロケット発射は可能なのです。その燃料の一部を5パーセントの力と言っているだけです。

Q4. 非身体(内部)エネルギーを高めるに当たって筋力トレーニングは必要か。必要であるなら、絶対的な筋肉量を誇る男性の方が女性に比べ非身体エネルギーを培うのに有利ではないか。

太極拳に限って言えば、いかなる筋力トレーニングもそれ程の重要性はない。中国武術の歴史を見てみると、病弱で痩せっぽちで体型的にも大きくない若者が太極拳の套路の練習のみを経てとてもパワフルな武術家に成長したという例は多くある。病弱というハンディを抱えながらも特別な筋力トレーニングなどを行わずに偉大なる内部エネルギーを獲得するに至ったのである。これらの巨匠は皆、男性であるが、彼らは最初から筋肉質だったわけではないし、太極拳を通じてあるいは他のトレーニング方法を通じてパワーを発達させたわけでもない。彼らが焦点を当てたのは内部エネルギーの成長である。更に、これらの巨匠達は殆どが長寿であり、筋肉ムキムキのマッチョタイプでは全くなかったが、かなり年を重ねてもとても大きなパワーを発揮したのである。

どんな筋力トレーニングも、それが内部エネルギーの発達に欠かせないものであろうが、それ自体がゴールであろうが、太極拳譜の次の文書を常に心に留めておくべきだ。

斯技旁門甚多,雖勢有區別,概不外壯欺弱、慢讓快耳
この世には多くの武術が存在する。
形はそれぞれ異なるけれど
その殆どが強い者が弱い者を倒す
そしてスローな者が素早い者に負ける
という枠組みを超えていない。

有力打無力,手慢讓手快,是皆先天自然之能,非關學力而有爲也。
強者が弱者を倒す
スローな技が素早い技に負ける
というのは自然の成り行きであり
訓練された太極拳の結果ではない。

察四兩撥千斤之句,顯非力勝
約120グラムの力でも500キログラムの力を無効にする事が出来る、という言い伝えがあるように、
太極拳のパワーは筋力で達成できるものではない。

觀耄耋禦衆之形,快何能焉
一人の老人が複数の若者を倒してしまったという実話がある。
老人の動きが素早かったからだ、と言えるだろうか。

唯一、例外があるとすれば、初心者にとって足の筋力を高めるのは悪い事ではない。太極拳のポーズを正しくバランス良く取るには強い足の筋力があると有利である。しかし、そういった筋力は男女を問わず長年の訓練によって自然に培われるものだ。

結論としては、筋力トレーニングは内部エネルギーの向上にはあまり関係がない。つまり男性の方が女性よりも太極拳のパワーを得るに当たって有利だという事にはならない。実際、筋力がありすぎると間違った方向に進んでしまうという可能性が高い。筋力に頼りすぎてしまう結果、真の太極拳の内部エネルギーを高める事ができなくなるのである。

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